限度値を使って体重管理をする

キロリーダイエットシステムでは、体重のほかにもうひとつの指標である「限度値」を使って体重の管理をします。

体重は限度値に近づく性質があるので、限度値を動かせば体重があとからついてきます。

限度値を徐々に変化させていくと、体重はそのあとをついていきます。

限度値を体重から離して一定に維持していると、体重は徐々に限度値に近づいていきます。体重は限度値と離れれば離れるほど速く近づいていきます。

体重と限度値がぴったり重なっていると、体重は動かなくなります。

体重と限度値でどちらが思い通りに動かしやすいかというと、圧倒的に限度値のほうが動かしやすいのです。ダイエットを始めても、体重はなかなか思い通りに動きません。しかし、限度値は、すぐに狙った値に動いていきます。

この体重と限度値の性質を使って、体重を思い通りにコントロールするのがキロリーダイエットの体重管理方法です。

限度値は、食事・運動などの生活習慣の変化により変動します。

限度値は体重に比べると動きやすいので、ダイエットの効果がすぐに確認でき、ダイエットに独特の先の見えないイライラが解消されます。

限度値の意味は、その限度値を維持していると、体重がその値まで近づいていくということです。限度値を維持するとは、おおむね生活習慣を維持するということと同じです。

ダイエットをはじめたときに、このダイエットを続けていたらどのぐらい痩せられるのか、すぐに気になります。しかし、普通の計算方法では、自分がやっているダイエット方法をそのまま続けて何キロまで痩せられるかよくわかりません。

ある方法で1カ月に2kg痩せたとすると、3カ月後に6kgやせそうです。ここまではよさそうですが、では、1年では24kg、2年で48kgでしょうか? 10年で240kgやせるでしょうか。この計算方法がおかしいことは明白です。

このような単純計算が有効なのは、ダイエットをはじめて2~3カ月程度で、その先は直線的に変化しません。それは、消費エネルギーが体重の変化で変わってしまうためです。

限度値は、今のダイエットをおおむね続けたとき(限度値を維持したとき)に、どこまで痩せるかという問いに答えた値です。限度値の限度は、一定の条件を維持した時に「どこまで変わるか」を示すということです。

この限度値を使って、自由自在に体重を動かそうとするのが、キロリーダイエットシステムの体重管理方法です。

(次回)限度値の実際を具体的に見てみましょう。

(次々回)体重が本人の希望に反する動きをすることもダイエットの特徴です。その2大パターンが停滞期とリバウンドです。次々回は停滞とリバウンドについて、限度値の観点で考えます。

 

体重はどこまで減り続けるのか

ダイエットを始めるとき、そのダイエット法でいったいどこまで体重が減るのか気になるところです。

前回の記事で、「1日400kcal減らし、3カ月で5kgやせる」ための条件について書きましたが、前日の消費カロリーより400kcalずつ減らし続ければ、6カ月で10kgやせ、12カ月で20kgやせ、2年で40kgやせ・・・となるはずです。ということで、生命の危険が発生するまで限度なく落ちていきそうです。

ここでは、このような一定のカロリーの差を保つ方法ではなく、カロリーがどこかで均衡する場合について考えます。

たとえばダイエットを始めて一定のカロリーの食事を取り続けたとします。そのとき、摂取カロリーのほうが消費より低ければ、痩せていきます。そして、消費エネルギーも下がっていき、どこかで均衡する点があるはずです。それ以上下がらないポイントが「限度値」になります。(脂肪が無制限にあると仮定して計算すれば、継続すると生命に危険がありそうなダイエットになっているということまで分かります。たとえば、絶食のようなダイエットの場合、今のダイエットを続けると体重が「5kg」になりますとか。)

単純に食事を一定にしておくだけでは、加齢により代謝が下がり続けるので、一定の限度まで下がったあと、長期間かけて体重が上昇していくことになります。

このようにならないよう、体重を収束させる維持条件を考えて算出することも可能です。

この限度値の水準を一定に維持すると、体重がその値まで下がっていき、その値で維持できるようになります。

限度値を使った体重管理は、このような考え方をベースにしています。

 

「1日400kcal減らし、3か月で5㎏やせる」ための条件

「3か月で5㎏やせる」ために、「単純計算で」と前置きされて、

7200kcal×5kg÷120日=400kcal/日

と計算される例を見かけます。(体脂肪1㎏当たりのカロリーは7200kcal)

この値に基づいて、「3か月で5㎏やせるために、1日の摂取カロリーを消費カロリーよりも400kcal減らせばよい」と言われますが、「いつ」の時点の消費カロリーを基準にして400kcal減らせばよいのでしょうか?

1 ダイエットを始めた時点

2 ダイエット中の前の日(近辺の平均)

実はこの点、しっかりと把握して述べられている説明を私は見たことがありません。

3か月で5㎏やせるためという条件を満たすのは、2の場合です。

先の計算が成り立つには、摂取カロリーと消費カロリーの差を一定(400kcal)に保つ必要がありますが、この差自体により体重が減少してしまうため、基礎代謝が減り、消費カロリーが減って行きます。

従って、消費カロリーが減った分、食事を減らすとか、運動量を増やすなどして、400kcalの差を保つ必要があるのです。

つまり、体重が減れば減るほど、食事を減らすか、運動をきつくする、あるいはその双方を実行するなどの必要が出てきます。

以上から、「1日400kcal減らし、3か月で5㎏やせる」ための条件は、やせればやせるほど食事を減らすなどして、400kcalのカロリー差を保つということです。

本当はこういう指示がないとこの目標は達成できないはずですが、でも、これを実際にできるでしょうか? 毎日食事を減らし続けるなんて、難しいうえに、心理的にもいやですよね。

実際の場面では、ダイエット当初のカロリーから400kcal減らすことを続けるだけで、その後ダイエットの強度を強くしていないのではないでしょうか? これはこれで悪いダイエット方法ではないのですが、予定の計算通りの減量ができないことになるので、その点のアナウンスは必要でしょう。

キロリーダイエットシステムの観点からは、ダイエットの計算をするときは、「体重が減ると基礎代謝が減る」ということを常に念頭においておく必要があるということを強調しておきます。